2色成形について

2色成形とは?

樹脂射出成形において、1種類の材質のみを使用して成形することを単色成形と言います。対して、2種類の材質を使用して成形品を形作る工法を2色成形と呼んでいます。2種類の材質とは異材質のこともありますし、同材質の色違いであることもあります。

2色成形で何ができるの?

2色成形は単に2材質を組み合わせるということにとどまらず、その性質を生かして、様々な価値を生み出します。例えば、一番わかりやすい例は、2つの部材が組立不要になる(アッセンブリレス化)です。

その他にもQ(クオリティ:品質)C(コスト:費用)D(デリバリー:納期)の観点から様々なメリットがあり、お役立ち情報でご紹介しています。=>QCDから見た2色成形

また、近年ではプラスチックの「加飾」と言って、プラスチック製品をより見栄え良く、高級感あふれるものに見えるようにする手法がありますが、この加飾工法のひとつとしても2色成形は活用できます。様々な活用例は「2色成形の活用例」をご覧ください。

材料組み合わせ、相性

2色成形では様々な材料の組み合わせパターンがあります。また、基本的に2材質が成形工程において、融着することを前提としているために樹脂同士に相性があるため、組み合わせについては配慮が必要です。


化学的性質から見た組み合わせ、相性


同材質

基本的に同材質どうしの組み合わせは最も融着性が高いです。同材質の組み合わせとしては、色違いの組み合わせで意匠性や視認性を高めた用途があります。

左の写真はその例で、同材質の材料で色違いのものを組み合わせたものになります。

異材質

異材質どうしの組み合わせは注意が必要です。融着性に関してはその材質のもつ極性や融点等の性質によって変わってきます。

材料B→ プラスチック エラストマー
材料A↓ ABS PP PA PC POM PMMA PBT PC-ABS TPO TPU PAE TPEE SBC(TPS) T-PVC
プラスチック ABS
PP ×
PA × × ×
PC ×
POM × × × × ×
PMMA × × ×
PBT × × ×
PC-ABS × × ×
エラストマー TPO × × × × × × ×
TPU × × × ×
PAE × × ×
TPEE × ×
SBC(TPS) × × × × × × ×
T-PVC × × × × × × × ×

◎:非常に良い 〇:良い △:悪い ✕:非常に悪い ―:不明

※当社での経験を基に作成しており、密着度・相性を保証するものではありません。

 (メーカーやグレードにより異なる場合があるため)


材料硬度から見た組み合わせ、相性


硬質‐硬質
金型設計上はもっとも簡単な組み合わせとなります。ただし、2種類の材質の収縮率の違いがあれば、変形、そりなどの考慮が必要です。

・硬質‐軟質

硬質プラスチックに熱可塑性エラストマー(TPE)を組み合わせたものです。代表的なものにPPとスチレン系TPEの組み合わせなどがあります。TPEは冷却されても硬度が柔らかいため硬質プラスチックに対してバリとなるなど、金型設計上の配慮が必要です。

・軟質‐軟質

TPEどうしの組み合わせで、応用例としては比較的少ないと思いますが、2色成形は1色目の材料を金型のようにして、2色目を射出するため、1色目の硬度が低いことによって、難易度はあがります。材質硬度や金型設計に配慮が必要です。