2色成形の材料の組み合わせと相性

2色成形では様々な材料の組み合わせパターンがあります。また、基本的に2材質が成形工程において、融着することを前提としているために樹脂同士に相性があるため、組み合わせについては配慮が必要です。

化学的性質から見た組み合わせ、相性

同材質

基本的に同材質どうしの組み合わせは最も融着性が高いです。同材質の組み合わせとしては、色違いの組み合わせで意匠性や視認性を高めた用途があります。

左の写真はその例で、同材質の材料で色違いのものを組み合わせたものになります。

異材質

異材質どうしの組み合わせは注意が必要です。融着性に関してはその材質のもつ極性や融点等の性質によって変わってきます。

材料B→ プラスチック エラストマー
材料A↓ ABS PP PA PC POM PMMA PBT PC-ABS TPO TPU PAE TPEE SBC(TPS) T-PVC
プラスチック ABS
PP ×
PA × × ×
PC ×
POM × × × × ×
PMMA × × ×
PBT × × ×
PC-ABS × × ×
エラストマー TPO × × × × × × ×
TPU × × × ×
PAE × × ×
TPEE × ×
SBC(TPS) × × × × × × ×
T-PVC × × × × × × × ×

◎:非常に良い 〇:良い △:悪い ✕:非常に悪い ―:不明

※当社での経験を基に作成しており、密着度・相性を保証するものではありません。

 (メーカーやグレードにより異なる場合があるため)

材料硬度から見た組み合わせ、相性

硬質‐硬質

金型設計上はもっとも簡単な組み合わせとなります。ただし、2種類の材質の収縮率の違いがあれば、変形、そりなどの考慮が必要です。

硬質‐軟質

硬質プラスチックに熱可塑性エラストマー(TPE)を組み合わせたものです。代表的なものにPPとスチレン系TPEの組み合わせなどがあります。TPEは冷却されても硬度が柔らかいため硬質プラスチックに対してバリとなるなど、金型設計上の配慮が必要です。

軟質‐軟質

TPEどうしの組み合わせで、応用例としては比較的少ないと思いますが、2色成形は1色目の材料を金型のようにして、2色目を射出するため、1色目の硬度が低いことによって、難易度はあがります。材質硬度や金型設計に配慮が必要です。

融着性のない樹脂どうしの場合

2色成形で同材であれば、一般的には融着しやすいですが、異材であれば、その材質の持つ極性や融点などの性質によっては融着しないことが多々あります。

しかしながら、その材質スペックが必要不可欠で、2色成形工法で一体化したい場合があります。その際は、設計形状ではがれにくい構造を設計し、一体化する事を行います。


あえて溶着しない樹脂どうしを選定した2色成形


当社の2色成形工法でいくと、型内組立工法がこれに相当します。摺動を有するヒンジ機構部位において、融着しない材料を選定することで、これを実現致します。枠部位を1次成形、羽部位(軸部位)を2次成形とします。材料の収縮率は1次材<2次材を選定することが望ましいです。