2色成形の材料に、硬質素材と軟質素材であるエラストマー(TPE)を利用することで様々な表現が可能になります。
活用例をご紹介します。
硬質素材は無機質で、摩擦係数も低いため、2層目に軟質素材(TPE)を持ってくることで、皮のような温かみのある触感が得られます。これも加飾のひとつと言えます。ステッチを金型で出すことで、本当の皮のような細工も可能です。
◆活用例
【自動車関係】
メーターフード
本物の糸のようなステッチ感の表現が可能です。
硬質素材の容器形状では中に入れたものが滑って動く場合があり、これも上層にTPEを配することで、滑り止めの機能が付与されます。
内側に滑り止め効果を付与したサンプル
電動工具用のカバーの持ち手に滑り止めを付与した事例
硬質素材に対して、エラストマー(TPE)でブレード形状やパッキン形状を2色成形することで、シール性を付与することができます。
もともと、硬質部品+ゴム部品で構成されていたものを合理化するために、利用されることもある手法です。
ただし、エラストマー(TPE)は圧縮永久ひずみがどうしても加硫ゴムより劣るために、使用にあたってはエラストマー(TPE)の選定や試験が必要となります。
エラストマー(TPE)でパッキン形状を2色成形し、シール性を付与した事例
(パッキン部分は通常黒色ですが、分かりやすさのため水色に成形したサンプルです)
パッキン部分にエラストマー(TPE)を利用することで、ゴムのように柔らかい特性があります
2色成形は成形工程で2つの形状が組み合わさって完成するので、組立不要(アッセンブリレス化)とも言えます。「硬質素材にシール性の付与」の硬質+エラストマー(TPE)パッキンなどもアッセンブリレス化の一つと言えます。この応用として、「型内組立成形」も可能です。例えば、Aという部品に対して、Bという可動部分を型内で同時成形することにより、アッセンブリレスが可能となります。
硬質+TPEパッキンのサンプル
型内組立成形を用いたエアコンルーパーのサンプル